Exchange Server 2013 Previewを触っていて、Outlook2007から接続してみようと思ったら、エラーが発生し接続できませんでした。
調査のついでにOutlookから各バージョンのExchange Serverへの接続をまとめてみました。
OutlookのバージョンはExchangeのバージョンに対応していることを前提にします。
▶Exchange 2003
Exchange 2003では、役割的にFront End,Back Endに分かれたが、社内ネットワークのOutlookクライアントからの接続はMAPI RPCを使用して行います。OutlookはBack Endサーバーに直接アクセスします。
Outlook初回起動時に(プロファイル作成)、設定画面でExchange サーバー、ユーザーアカウントを指定してあげて、メールボックスに接続できるようになります。
※MAPI(Messaging Application Programming Interface)とはメッセージを送受信するアプリケーション用にマイクロソフトが作成した規約です。
RPC(Remote Procedure Call)とはリモートコンピュータ上で稼働するサービスを呼び出すためのプロトコルです。
▶Exchange 2007
Exchange 2007では、MBX,CAS,HUB,UM,Edge5つの役割に分割されて、Outlook以外のアクセスはCASサーバーを経由するが、社内のOutlookアクセスはExchange 2003時のようにMAPI RPCでMBXサーバーに直接接続します。
Exchange 2007になって、自動検出(Autodiscover)機能が導入されています。初回アクセス時に、Outlookは自動検出でプロファイルを作成するために必要なExchange構成情報を取得します。こうすることによってExchange サーバーを入力することなく、自動的にプロファイルの作成ができるようになります。
※自動検出の仕組み
・CAS役割をインストールすると、ADにサービス接続ポイント(SCP、CASのURLが含まれる)が自動的に構成されます。
・Outlookの初回起動時にExchange ServerはADの情報を使用してOutlook構成テンプレートを作成します。テンプレートにはAD,Exchangeに関する情報が含まれています。
・OutlookはSCPを使ってCASサーバーで自動検出サービスを検索します。
・Outlookが、必要な構成情報を自動検出サービスからダウンロードしてプロファイルを作成します。
▶Exchange 2010
Exchange 2010では、役割的に2007と変わっていませんが、CASの役割にはRPCクライアントアクセスサービスが導入されました。この変更によって、Outlookは前のバージョンのようにMAPI RPCでMBXサーバーと通信するのではなく、CASサーバーを介してMAPI RPCを使用してMBXサーバーに接続するようになりました。
Outlook起動時に、自動の場合は、2007の時と変わりはありません。手動の場合は、Exchange ServerをCASに指定します。
▶Exchange 2013
Exchange 2013 Previewでは、アーキテクチャが大きく変更されたといえるでしょう。役割が2つ(CAS,MBX)になりました。役割の数が少なくなっていますが、前のバージョンの各種サービスがほとんど残っています。CASサービス、MBXサービス、HUBサービス、UMサービスがMBXサーバーに存在しているので、MBXサーバーの機能が強化され、担当するタスクが多くなっています。一方、CASの仕事は少なくなっています。認証、リダイレクション、プロキシなどの機能しか提供しません。
そのため、OutlookからExchangeサーバーへのアクセスも変わっています。2010では、接続ポイントがCAS ArrayのFQDNになっていますが、2013では、接続ポイントは(ユーザーメールボックスのGUID+@+UPNサフィックス)のような形式になっています。OutlookとCASの間で、RPC over HTTPS(MAPIをHTTPSでカプセル化する)通信が行われます。OutlookはCASサーバーへアクセスして、CASサーバーでユーザー認証が行われたら、HTTPSトラフィックが該当のMBXサーバーにリダイレクトされます。
Outlook初回起動時に、前のバージョンのように、Autodiscoverを使用して、新しい接続ポイントを探します。
テスト環境でOutlook2007からExchange 2013に接続してみたが、図のように、ステップ2のところで止まっています。原因はまだ不明。